関節リウマチ

関節の炎症が続くことで、軟骨や骨が破壊されてしまい、関節がうまく動かなくなったり、変形したりしてしまうのが、関節リウマチです。自己免疫疾患のひとつと考えられていますが、その原因はまだすべて明らかにはなったわけではありません。

体には外部からの異物に対応し、体を守るため、免疫システムがあります。その免疫システムが異常を起こし、自分の体を敵とみなして攻撃してしまうことで、関節リウマチが発症すると考えられています。免疫システムが異常を起こす原因としては、細菌やウイルス、遺伝的要因などが考えられています。

関節においてこの免疫システムの異常が起こると、関節の毛細血管が増加し、そこからリンパ球やマクロファージなどの白血球が出てきます。これらがサイトカインと呼ばれるIL-6(インターロイキン6)やTNF-α(腫瘍壊死因子α)などのたんぱく質を産出します。このサイトカインが分泌することで、炎症が関節内に起こります(滑膜炎)。炎症が起こることでさらにサイトカインが過剰に分泌され。炎症が悪化するという悪循環に陥るのです。免疫システムの異常が進行すると、次第に軟骨や骨が破壊され、関節が固まってしまったり、逆に緩むことで変形してしまったりということも引き起こされます。

関節リウマチの初期には、「痛み」「倦怠感」「こわばり」などの症状があります。重いものをもつと手首が痛む、階段の昇降で膝が痛む、瓶のふたを開けようとすると手先が痛む、お風呂に入っていると体中が痛む、などの痛みの症状があります。また、全身がだるくて動きたくない、体が重い、座っていても姿勢を維持するのがつらい、横になりたい、などの倦怠感が見られることもあります。

さらにリウマチ特有の症状として「朝のこわばり」というものがあります。これは朝起きで10分くらいは指が カチカチに固まってしまって動かかなかったり、手首や足首も固まってしまって、動きがぎくしゃくしてしまったりという症状です。関節を動かしていくと、昼間には動くようになってきます。関節の炎症を起こして腫れている部分は、ぶよぶよとして柔らかいのが特徴です。

上記のような症状があって、関節リウマチの疑いがある場合、問診や触診、視診に加えて血液検査や尿検査、画像検査などを行い、体の中で起こっている炎症反応(CRPやESR)、さらには自己抗体であるリウマトイド因子や抗CCP抗体の有無を調べたり、関節の状況を診たりします。その上で「関節リウマチ新分類基準」によって診断します。これは2010年に設けられた国際的な基準で、症状が6週間以上続ていているか否か、炎症のある関節の数、CRPやESRの値、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性か陽性か、などを判定し、そのトータルのスコアで関節リウマチかどうかを診断するものです。

関節リウマチの治療に当たっては、腫れや痛みを取ること、関節破壊を抑えること、身体機能の低下を防ぐことを目標に、薬物やリハビリテーション、場合によっては手術などの治療を行っていきます。関節リウマチは比較的軽度のものも多く、我慢して見過ごしてしまいがちですが、全身に炎症が進行して悪化した場合、背骨の手術が必要なこともあります。そうならないためにも、早期の治療開始が望まれます。

薬物治療としては、メトトレキサートなどの抗リウマチ薬、タクロリムスなどの免疫抑制薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、副腎皮質ステロイド、生物学的製剤があります。抗リウマチ薬や免疫用製薬は、関節リウマチに関わる免疫機能を調整したり抑制したりします。またサイトカインを促進する酵素の働きを阻害するものもあります。生物学的製剤はサイトカインや免疫システムに関わるT細胞の活動を抑えるもので、点滴や注射で投与します。どれも症状の改善や関節破壊を抑えていく働きを持っています。非ステロイド抗炎症薬やステロイドは、炎症を軽減し、痛みを抑える目的で使用することがあります。

さらに関節リウマチによって身体の機能を低下させないことを目的に、リハビリテーションを行う場合もあります。理学療法によって筋力を保ち、作業療法によって生活同様改善を図ります。また様々な装具を使って痛みや関節の変形を抑える装具療法を行うこともあります。ただし、炎症が強く出ているときに行うと関節破壊につながる危険性もあるので、必ず医師の指導の下、行っていきます。

院長
森田 守
診療科目
整形外科・リハビリテーション科
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