ロコモティブシンドローム

英語で移動することロコモーション(locomotion)といい、移動するための能力があることをロコモティブ(locomotive)といいます。ロコモディブシンドローム(運動器症候群/ロコモ、と略されることがあります)とは、立つ、歩くといった移動するための能力が、運動器の障害等により、低下したり衰えたりする状態を指す言葉です。高齢になってから運動器の障害を抱えると、生活の質は大きく下がってしまいます。要介護、要支援になってしまう原因の多くは、転倒等による骨折や、関節の障害であることは知っておかなければならないでしょう。

ロコモティブインドロームの原因としては、運動器の疾患および加齢によって起こる運動器の機能の低下があげられます。運動器の疾患としては、変形説関節症、骨粗しょう症、関節リウマチ、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症などの病気や、骨折などのケガ、脳卒中などによる四肢・体幹の麻痺、さらには腰痛、肩こりなどがあります。加齢による運動器の機能低下には、手足や体幹の筋力低下、体力の衰えや、筋肉がこわばったり萎縮したりすることによる関節可動域の制限、関節や筋の痛みなどがあります。

こうした原因によって、立っていたり、歩くためのバランス感覚や、様々な動作や作業をするための指先の動き、運動速度、反応時間などが衰えていき、たとえばトイレや着替え、入浴などの日常生活にも支障が出て、介助が必要になっていってしまいます。また外出することが苦痛になってしまい、家に籠るようになることで、さらに運動機能が低下していくという悪循環に陥ります。運動器の機能低下を防ぐことは、健康寿命を延ばすためには、とても重要なことなのです。

健康寿命とは、健康で日常生活を送ることができる期間のことで、日本では平均寿命と健康寿命との間に、男性で9年、女性で12年の差があります。この期間は何らかの原因で、日常生活に支障をきたしていたり、介助や介護が必要になってしまっている状態ということです。この期間をなるべく短縮して人生をより長く楽しむためには、いち早く運動器の低下に気づき、その進行を予防する取り組みを、なるべく早く開始することが大切です。

日常生活の中で、片脚立ちで靴下が履けない、よくつまずく、手すりに頼らないと階段が上れない、重いものを持ち運ぶのが辛くなった、横断歩道を渡りきる前に信号が赤になってしまう、などの経験があれば、ロコモの可能性がありますので、チェックしてみる必要があるでしょう。

ロコモ度をチェックするテストについては厚生労働省のサイトで紹介されています。
→4-4_ロコモ度テスト☆調整済.indd (mhlw.go.jp)

万が一、ロコモが疑われる場合は、原因が何かを見極め、適切に対応していくことが大切です。ロコモは単純に一つの原因によるものよりは、病気や加齢、痛みや生活習慣など様々な要因が絡み合って引き起こされることが多くあります。当院では、患者様お一人お一人を丁寧に診察し、運動器の病気があれば、まずそれをしっかりと治療し、さらにリハビリテーションを通じて、運動器の機能回復を図ることで、ロコモの進行を遅らせることを目指します。

ちなみにロコモティブシンドロームを予防するための基本的なトレーニングとして、「片脚立ち」と「スクワット」があります。一人一人、体力や症状に違いがありますので、無理せず行ってみましょう。

片脚立ち(バランス能力を養います)

左右それぞれ1分間ずつ、1日3セット行います。

  • 転倒に注意し、必ずつかまるものがある場所で行います。
  • 床につかない程度に片脚を上げます。
  • 姿勢をまっすぐに保ちます。
  • 支えが必要な方、不安のある方は、最初から机などに手をついて、十分注意して行いましょう
スクワット(下肢の筋力をつけます)

5~6回ずつ繰り返し、1日3セットが目安です。

  • 足を肩幅に開いて立ちます。
  • おしりを後ろに引くように、ゆっくりと膝を曲げ、ゆっくりと元に戻します。 その際、つま先より前に膝が出ないようにすることがポイントです。
  • スクワットが難しい場合は、椅子に腰かけ、前の机に手を置いて、ゆっくり立ったり座ったりの動作を繰り返します。できる場合は手を机の上に浮かせるようにして(机に手をつかずに)行います。
  • 動作の最中は、息を止めないようにします。
  • 膝は深く曲げすぎず、90度以上曲げないで行います。
  • 支えが必要な人は、転倒に十分注意し、机に手をついて行います。
  • 個人により、回数やセット数を増減させても構いません。

骨量や筋肉のピークは20~30歳代であり、歳とともに衰えていくことは当たり前のことです。それを極力、緩やかなものとするためには、なるべく若いうちから運動習慣を持つことが大切です。しかし、負荷をかけすぎると、かえって悪化したり、転倒してケガをしたりしてしまう場合もあるので、注意が必要です。

院長
森田 守
診療科目
整形外科・リハビリテーション科
住所
〒252-0813
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